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[02/18 かや]
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初めましてのかたはカテゴリ「はじめに」をどうぞ。
しいなさん宅轟雷さん&はなをちゃん借り!
たま菊が艶獣屋にくることになった、その発端のおはなしてございます。 アダルトな空気を目指して玉砕した。 タイトル考えるのって難しいねぇ… ―――――――――― しゅっと衣擦れの音が静かな部屋に響く。 あるものと言えば衣桁に小さな箪笥と灯りがひとつ、それに寝具が広げてあるだけの簡素な部屋だ。 寝そべった女と衣服を着る男。 情事の気配は色濃く残るが、愛情のあまやかさはそこにない。 男が着物に袖を通したのを見て、女は雁首を煙管盆に当てて灰を落とす。 しなやかな動きで立ち上がると、肩に羽織っただけの襦袢に腕を通して胸の下を紐で軽く縛ってとめた。 着物の衿を揃えた男の後ろへ衣桁から抜き取った帯をあてて、体に沿わせていく。 やわらかく密着した女の指がついと下腹をくすぐって男が軽く片眉をあげた。 引き締めた帯の結び目を絞る前に、飾りの紐を中に通して前へとまわす。 のびてきた女の細い手首を男のかたい手のひらが包んだけれど、それに女は吐息のような笑いだけもらして手首を返した。 ゆるく掴んだだけだった手のひらはすぐに外れて、引き抜かれた手首の代わりに男の手には紐が残る。 反対側の紐の端はすなおに受け取った。 飾りの形に結んで、短くなって戻ってきた紐のはしを結び目にかけるようにして引き絞る。 腰まわりの布地をつまめる程度に引いてゆとりを持たせて、完成とばかりに背を軽く叩いた。 ちらと視線を寄越した男を数瞬見つめて、艶やかに口元を綻ばせる。 女はこの駆け引きのようなやりとりを気に入っていた。 つまみ上げた羽織を男の肩に預けてすいと白い指先で肩山から腕をなぞる。 手首まで来たその手をはしりと男が掴んだ。 「……ゆう、と言ったな」 ちょうど女性が好みそうな、低くよく響く男の声。 ひろい肩にがっしりとした体で、女より少なくとも頭ひとつ半は背が高い。 開いた拍子に鋭い犬歯が覗く口元、こめかみから耳は獣のかたちをして。 かたい手のひらは熱く、爪は幅広で丁寧に切ってある。 蛇の尾がするりと床を撫でた。 「ええそうよ」 わずかに掠れた、けれど女性らしい甘さを含んだ女の声。 手ゆびも細いが首も鶴のように細い。 小股の切れ上がった、その表現が似合うすらりとした体型。 髪は新雪の白さで長く、毛先や濃く集まったところがほんのりと陽光の金色をして、ほとんど暗闇に呑まれた部屋のなかでも灯りをはじいてきらきらと光った。 そのしなやかな指にゆるゆると絡めて、そこに視線を落としていた男がふと顔を上げる。 熱をはらんだ獣のまなざしだ。 思慕や劣情ではない熱。 野心や執着にちかい熱。 若い、と女は思う。 なにかをやろうとしている男の表情でひどく高揚して、自然と目を細める。 「お前さんはいい遊女(おんな)だよ、ゆう。――俺の見世にこないか」 その言葉に一瞬、瞠目した女が弾かれたように笑い声をあげた。 おさまらない笑いのなかで女は言う。 「馬鹿をお言いでないよ兄さん!女ァ口説くなら花の一輪でも持ってお出でなさいな!」 掴まれていないほうの手でぱしんと男の背を叩き、尚も笑いがとまらないから半身を折って笑い続ける。 もはや涙目だ。 なんとか笑いをおさめて、それでもくつくつと喉を鳴らしたままで目元をぬぐってひとつ息を吐いた。 苦い笑みを貼り付けた男も失敗したなと息をつく。 「野暮を言ったか」 「ああ野暮天サ。うふふ。…あたしは安く売ってるつもりだけれどね、誰かの傘に入らなきゃいけないほど食うに困っている訳じゃないの」 「そうか。やれやれ気が急いたな…これ以上失態を重ねる前に退散するよ。…また来る」 すい、と離した手で女の頬を一瞬撫でて、男は部屋の外へと足を向けた。 女は敷居のぎりぎり内側にとどまって、柱に軽く体を預けて見送る。 男は振り返らなかったし、女も引き留めはしなかった。 しばらくして。 「邪魔するぜ」 「邪魔をするなら帰ンな。あら、兄さんは…」 見もせずに言葉を跳ね返して、それからようやく相手が誰だか判別した女が呆れた顔でひとつ煙を吐いた。 「コブ付きじゃ女は買えないよ兄さん」 男の後ろから好奇心を隠せない様子でちらちらと窺い見る童女が目に入ったからだ。 けれどその指摘に男はにやりと人の悪い笑みを浮かべただけ。 「以前に花の一輪でも持って来いと言ったからな」 「はぁ?」 「はなをと申しぃす!」 訝しげに眉を寄せた女の前に、堪えきれなくなって童女がぴょいと男の後ろから飛び出した。 「あたしの姉さまになってくれるんですよねっ?」 きらきらと期待に輝く瞳。 喜びいっぱいといった態度。 眼前にそれで迫られて、手にした煙管を落としそうになる。 男の方を見れば変わらずのにやにや笑い。 まったく、と苦い声が女からもれた。 「はなではなをか!確かに言ったねぇ…」 「どうだ、気は変わったか?」 「…それでもイヤだと言ったら?…ああちょっとお嬢ちゃんそんな顔をしなさんな!」 一瞬で泣きそうに歪んだ童女の顔にぎょっとして、これじゃあ断るなんてできないじゃないかと男を睨む。 端ッからそれも計算のうちと男は涼しい顔だ。 「うちの花魁になる気は、どうだ、ゆう、あるかい」 「…字は悠久の悠だよ」 「ああ…お前によくあってるじゃないか」 「花魁に相応しかろう名前はお前さんが責任持ってお考えな!」 僅かに悔しそうに放たれた一言に男は笑い、童女は歓声をあげた。 「あたしのおいらん姉さん!」 PR この記事にコメントする
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