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初めましてのかたはカテゴリ「はじめに」をどうぞ。
羅国昔話in夢。
伽羅と書いてからと読んでください ------------------------
『から』 懐かしい声。 低調の、よく響く鐘に似た。 『…から』 梔子の、馥郁とした香り。 衣擦れの度に僅かに。 『『伽羅』』 ああ。 これは、夢だ。 「伽羅」 「なに、かあさん」 さらさらと風が流れる。 熱い風が肌をくすぐる。 日陰に入ると、体感温度は幾分か下がる。 砂漠に近いこの場所では日中外の、陽射しの下に出るのは自殺行為に等しいと言える。 とは言えオアシスを囲む町は周りよりも少しばかり恩恵を受けている。 「………」 伽羅、と呼ばれたのは年端も行かない少年。 黒い、少し硬い髪。 陽射しに耐え得るかのように色素の濃い肌。 しっかりと、両目を何重にも覆う、洗いざらしで色の褪せた布地。 「母だと、わかったのは」 「足おと。かるいから」 「それから?」 「におい」 「…良いこと」 地面に座る少年の傍らに女性が膝を付き、そっと彼の頬に触れた。 彼女の肌も少年のそれと同じく色が濃い。 頭から被った薄布からこぼれる髪も、質は違えど少年と同じ黒髪だった。 「伽羅、お前は目が悪い。耳と鼻を最大限に使わねばなりませんよ」 「はい、かあさん」 彼女の身動きの度、周囲は見えぬ梔子を感じた。 「…父さん、何してるの」 普通に振り返って普通に不思議そうに訪ねられて、気配を殺して歩いていた父親は目を丸くした。 破顔一笑、ぶつかるように幼い彼を掬い上げたのは無骨な手の平だ。 父親である彼は明るくて、よく表情の変わる男だ。 対照的に息子である彼は非常に表情に乏しい。 「伽羅ー!お前は母さんにそっくりで可愛いな!何でわかった愛か!」 「父さん煙草臭いし」 「嘘ォ!?」 「ほんとう」 「我が息子に煙草臭いと言われるとは…あと鼻にシワよってるぞ」 「…父さん、臭い」 「その言い方はヤメロ」 抱え上げられた少年の左目側には布が巻かれている。 右目は、父親が濃い緑であるのに対して赤い。 幼くして彼は自らの目をツールとしたクリエイターだった。 「そんなこと言うと父さん稽古つけてやんねーぞ」 「…!それは、困る…」 「そうだろうそうだろう。…っと、お前重くなったなぁ」 息子を抱え直して父親はそっとその目を覗き込む。 赤い鉱石の瞳。 瞳孔部分は硝子を通した闇のように暗い色をしている。 「……。謝ったら、後でけいこしてくれる?」 「ん?うん。謝ったらな」 「ごめんなさい」 「よし」 殊勝な、至極真面目な顔で頭を下げた息子に明るく笑って、父親はゆったりと歩いていく。 「…行くか、伽羅」 「はい」 「…出て行くならば、名を捨てねばなりませんよ」 「わかってる」 「伽羅としてここに戻ることまかりならんぞ」 「そのことも」 「…そうか」 じ、と静かに視線が向けられる。 名残を惜しむような視線。 「父さん…部族長。長らく、世話になりました」 「…ゆけ、若者。振り返らず」 「では」 胡座をかいたその姿勢で、両拳を床につき一礼する。 それは10を少し過ぎた程度の少年がするにしては些かぎこちなさがあったが、別れには必要な一礼だった。 「…なにしてんだ、お前」 疲れきって喉も乾いてどうしようもなくなって。 「……、………?」 動けなくなって細い路地で倒れていた時に。 「口が利けねぇのか?それとも意識トんでるか?」 真っ青な女性が、声をかけてくれた。 「……え、が」 「声が出ない?水分足りねぇのか。ほらよ」 とりあえず、とばかりに水を差し出されて、一応臭いを嗅いで危険がないか確認してからもらった。 もらった水は、自分の喉が渇いていたのもあってとてもおいしかった。 「…り、がとう、ございます」 「おう」 「…しぬかとおもった」 「ガキがひとりでふらついてっからだよ。親はどうした」 「…いない」 「そっか」 ぽんぽん、と白いてのひらが頭を軽く撫でる。 彼女が眉宇をひそめて、髪ぱさぱさ、と呟くのが聞こえた。 「こいよ、とりあえず体洗うのと、飯は食わせてやるから」 それが、俺と師匠の出会いだった。 懐かしい、夢を見た。 PR
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