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つとみや あかつき
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おんなのこがすきです。
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創作倉庫。 基本的に手ブロ創作企画関係を収納してます。 初めましてのかたはカテゴリ「はじめに」をどうぞ。
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その頃真夜さんは。
哀火宅紗衣ちゃん、星月闇さん宅芝さんと、反狸さん一家の名前借り!
あとモブ男1。

--------------------




「あれ……」
あれから二度寝して、着替えて、朝餉を摂って、そのあと。
体温がひとり足りないのに気付く。
久松サマは人間界、出雲も付き添いで人間界だから、屋敷には杏、白亜、紗衣、芝兵衛、比紗、それからぼくがいるはずだ。
芝兵衛はこっちをまかされている筈だからいなくなってないとして、それからいないのが1人だから杏と白亜も外す。ここは大抵一緒だし。比紗の奴は外に行くわけない。
だから、足りないとしたら。
「……紗衣かぁ」
とりあえずことの次第を聞くべきかと芝兵衛を探す。
途中外廊下に爪が刺さるなんてことをしてしまったけど、まぁこのくらい許されるでしょ。
「芝兵衛! 紗衣は?」
「おう。紗衣のお嬢なら久松さん追っかけてったぜ」
「はぁ!? なにそれ!」
いないって、そっちかよ!
ちょっと屋敷から出てるとかじゃなく、追いかけたってことは相当な遠出で、ってそうじゃなく。
「止めてよ見てたなら!」
「止めるもなにも」
ぽ、と煙草の煙で輪を描いて落ち着き払った様子。
なんでそんな落ち着いてるんだよ腹立つな。
「紗衣お嬢の自由だろう。何をそんなにいきり立つ」
「あの子ひとりじゃ危ないってことだろ! ああもうっ」
「どこ行く」
「守るって約束したんだ、追うよ! 芝兵衛は残りの子達、ちゃんと見てて!」
かちかちと爪が鳴る。下駄を引っ張り出して、そのまま翼を広げた。
……本当は、飛ぶのってあんまり得意じゃあないんだけど。
そうも言っていられない。





いい加減走り疲れて、少し休憩をしようと速度を緩めた。
あと少しで人間界。久松様、無茶をしていないかしら。出雲さんも、無理をさせていないかしら。
まったくもう、お年を考えていただかないと。
呼吸を整えるために歩いていたら後ろから吹いた、強い風に押されて思わず立ち止まる。
どうと翼が空気を叩く音。
下駄の底で地面を擦って勢いを殺すなんて乱暴な降り方をして、彼が赤い瞳で不機嫌そうに私を見た。
「真夜さん」
「真夜さんじゃないよなにしてるの。帰るよ」
人間界を好まない彼がこんな境に近付くなんてなにかあったのかと心配になったらこれでした。
「……わ、私は護衛なんですよ! 久松様を守らなきゃ。だから帰りませんっ」
「出雲が一緒に行ってるんだからいいでしょ! だいたいきみは女の子で、使えるのは戦闘に向かない呪術だろう!」
「確かに出雲さんもいますけど、2人だけでは危ないですよ! 女だって充分戦えますし戦ってみせます!」
「ぼくは家の子達を守るって言ったんだよ! きみを危ないところに行かせるわけにはいかないし、だいたい久松サマがきみを連れて行かなかったってことをちゃんと考えなよ!」
「私なら大丈夫です! 此処までだってちゃんと来れているじゃないですか! あの人のことだからきっと無茶をしますもの、誰が止めるって言うんです!」
「彼は頭領なんだから、できることとできないことの区別くらいできるだろ! 自分の頭なのに信用できないって言うのかよ!」
「久松様が無茶する度にぎっくり腰やってるの、あなただって知ってるでしょう! 信用する以前の問題だわ!」
「そういう時のために出雲が一緒なんでしょ!?」
「万が一を考えてです! 出雲さんだけでは助けられないかもしれないでしょう!」
「だからってきみが行ってなにか変わるって言えるのかよ! そんなに過保護にするものじゃないだろ!」
「変わるかもしれないじゃないですか! そう心配になるんでしたらどうなるか一緒に見に行きますか!?」
「ぼくは心配してるんじゃなくてきみを守らなきゃいけないんだよ! ていうか、心配する事なんてなにもないだろ!」
「なんですかそれ……!」
なんだか妙に熱くなってしまっていた言い争いで、私の言葉が途中から覇気をなくしたのは別に彼の言葉に納得したわけではない、といちおう言い訳をしておきたいと思う。
彼の後ろに、なんの気負いもなしに立つ人影があった。
ひょいと伸ばされた手を見もせずに尻尾で打ち払って、苛々を隠しもせずに失せろ、と彼が吐き捨てる。
「つめてー。いいじゃねーの、こんなとこでケンカしてねーでさぁ」
「見てわかれよ、今はそういうコトする気分じゃない」
私だったらこうも苛ついた真夜さんにはあんまり近付きたくはない。
憂さ晴らしとばかりにからかわれるのが目に見えているもの。
もっとも、感情を荒げる彼というのはとても珍しいのだけれど。
いや、というか、誰なんでしょうこの男性。
気安い動作で彼を後ろから抱き寄せる人物に見覚えはない。でも、この表情、笑い方、どうにも見覚えがあるような……
「最近お前付き合い悪ィよなぁ。久々にシようぜ」
「嫌だね。さっさとどっか行けよ」
……んん?
「なんだよ、そこのじょーちゃんと遊んでたっつーなら3人でも俺はぜぇんぜん構わねーけど?」
……ああこれあれですよ! 真夜さんが、その、教育的指導でカットしなきゃいけないことを言ってくるときの顔です!
わ、うわ、ど、どこ触ってるんですか!
「……3度目だよ。さっさとその手をぼくの太腿から離して失せろ」
「お前がシてくれるっつーなら離してもいーぜ」
どこに視線を向けていいのか、見たくないやらどうしたらいいやらで視線をさまよわせていると、一瞬彼と目があった。
なんだかひどく冷めた表情をしていたからどうするつもりなのだろうと思っていたら、すうと視線を逸らされる。
「きみ、面倒くさい奴になったね」
背筋が震えるほど底冷えのする声色で言った彼の脚にうねって並ぶ鱗のうち、何枚かがゆらりと溶けて指先に集まっていた。
小さな水の球になったそれは輪を描くように回転して、見る間に薄い円盤状になる。
「ぼくって嫌いなもの、特にはないんだけどさぁ。面倒な事は好きじゃないんだよね」
くん、と彼が指先を振り上げた。
「なに言っ――う、あ゛っ!?」
濁った悲鳴を上げて男性が耳を押さえて後ずさる。
肉の溶ける強烈な刺激臭。
水であるにも関わらず、彼の能力はどこか炎に近かった。
「ひとの話を聞かないとかさぁ……そんな耳なら、いらないよね」
「……ひ、や、やめ」
「ああそれとも、耳では聞いてるけど理解はしてないの?あはは、いらないのはアタマのほうだったのかな」
「お、おい待てよ、……っ冗談だろ、なあ!」
じりじりと後退する男性の顔は恐怖に引き攣っていた。それもそうだと思う。
「……っ真夜さん!」
たまらず声をあげた私に、彼が振り返る。
いつもと変わらない笑みを浮かべたまま、どうかしたの、と言われるけれど、見ていられなくて思わず呼びかけただけで二の句を継げない。
「変なの……あ」
怪訝そうな表情を浮かべた真夜さんの、その後ろで男性が慌てて走り去っていく。うん、そうですよね……逃げますよね……
「……ああいうのがいるんだよ、紗衣」
「……あれはどう見ても、あなたに寄ってきたんですよ」
「…………言うね」
「人間界まで行ったら、むしろいないと思います」
「……よ」
「真夜さん?」
「いや」
なんでもない、言って僅かな間目を伏せた彼がひどく億劫そうにこちらを見る。
「ここでぼくが行かないって言ったら、きみはひとりで行くんだろ」
「そうですね」
「ぼくがきみに行かないでって泣いてすがっても」
「……するんですかそんなこと」
「まぁしないけど」
じゃあ言わないでくださいよ想像しちゃったじゃないですか。
「仕方ないなぁ――ぼくもついて行くよ。雑魚共は消してあげる。でも久松サマのところまではきみが先導してよね。ぼく、個人は特定できないから」

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